富岡製糸場 第3章 木骨れんが造編

2016年3月15日 17:22

Category: 近代建築, タイルやレンガ

前回からの続きです。

構造についてです。
建屋は「木骨レンガ造」という造りなのだそうです。

初めて聞く単語だー って思ったら、そういえばこういうことです↓

言っちゃえばコレ

※ストラッドフォードエイボンのシェイクスピアの生家 壁は煉瓦じゃなさそうだけど。
要するにハーフティンバーね。

 

改めて見てみますと確かに木が。

建物の荷重は木でささえており、レンガは言っちゃえばただの壁です。言い過ぎ?

レンガ

でもレンガに荷重はレンガの自重位しか掛かっていないことが想像されます。

組レンガ造だと大きな開口は取りにくいですが、ここは用途がマユや絹の生産保存ですから湿気は大敵。
この構造により通気のための大きな開口扉も設けやすかったのかも。
また工期、費用の点からも利があったようです。
木造

工場内から見れるトラス組ですが梁がダブルになっており、重い瓦屋根を支え、柱を設置することなく大きなスペースを確保させ効率的に機械を設置することが考えられています。

これはブラボーですね。

 

富岡製糸場はここ以前に建設された横須賀造船所と同じフランス人の技術者が設計しており、その横須賀造船所も木骨レンガ造であったとのこと。
残念ながらそちらはもう建物は残っていなく見ることはできません。

近年、富岡製糸場から横須賀造船所のものと思われるレンガが発掘されレンガ製造の為のサンプルに使われた可能性が考えられています。そのような歴史的関係から昨年2015年に富岡市と横須賀市は友好都市提携がなされたそうです。

 

明治時代のレンガの建物は震災や戦災、火事などで無くなっているものが多いのですが

明治初期の工場がほぼ完全な姿で残っているというのはすごいですね。

繰糸所

※画像提供 富岡市・富岡製糸場

レンガに瓦で和洋折衷の大変美しい建物です。繰糸所。こちらも国宝。

 

ハーフティンバーのイメージでフランス積みはデザインとしても色々な場面で使えそうな感じがするのですがいかがでしょうか。

担当M

富岡製糸場 第2章 レンガ編

2016年3月9日 10:25

Category: 近代建築, タイルやレンガ

前回の続きです。

富岡製糸場のレンガを見てみましょう。

 

良質な粘土を産出する富岡近くの甘楽町に釜を作って焼き上げたものです。

レンガ1

当時富岡付近ではレンガなど作ったことがなく、集められた埼玉県深谷の瓦職人に作り方を教え瓦と一緒に焼き上げたものだそうです。

深谷の瓦職人にすれば初めて造ったレンガということになりますが、この時代のレンガの多くが外国人の指導を受け地元瓦屋の技術を用いて製造されていたようです。そういえばレンガって煉瓦って書きますね。

レンガアップ

目地は現代ならモルタルですが、この時代日本ではセメントはまだ製造されてなく代替として下仁田町から採取された石灰を原料とした漆喰と砂を混ぜたものです。

 

ちなみ深谷ですが、富岡製糸場の創業から15年後の深谷に日本初の機械式レンガ工場である「日本煉瓦製造」が設立され、東京駅の構造用(壁の中なので見れません)や万世橋高架橋などで使用されたレンガが焼かれています。レンガの町ともいわれてますね。

これは富岡製糸場からの技術移転と言えそうです。

次章は構造について紹介します。

富岡製糸場 第1章 フランス積み編

2016年2月26日 18:21

Category: 近代建築, タイルやレンガ

営業部の担当Mです。ご無沙汰です。。

先日スキーに行ったのですが天候不良で楽しめず早々に撤収。
せっかくなので富岡製糸場を見学してきました。

絹産業遺産群の構成資産として世界遺産にも登録されたのも記憶に新しいです。
1

※画像提供 富岡市・富岡製糸場

全景1

※東置繭所 国宝です。

キーストン

キーストンには明治五年と。

設計50日 建設一年半の突貫工事だったそうです。

 

レンガ造の建物を色々と調べていくと必ずここ富岡製糸場がでてきます。

その歴史的価値もさることながら珍しいフランス積みになっているからなんです。

私が見に行きたかった理由もそこにあります。

フランス

おー確かにフランス積みだー  初めてみたー

フランス積みとは・・・同じ段にレンガの長手面と小口面を交互に積む積み方です。
pattern3

上記の図ではわかりやすく色を変えています。フランドル積みとも言います。

 

設計、建設はフランス人技術者監修で行われます。そのためフランス積みになってるわけです。

このフランス積みは国内では明治初期の建物で多く採用されましたが現存するものは少なく明治中期から後はイギリス積みが主流になっていきます。

フランス積みは見た目に優雅ですが手間がかかりイギリス積みのほうが効率に優れ強固であると考えられたからです。

 

以前紹介しました、東京駅、万世橋高架橋や南禅寺の水路閣もイギリス積み。

そういえばそれらは明治中期以降の建物です。やっと明治初期のフランスさんに出会えました。

アメリカさんは日本にあるのだろうか。アレレ? これも今度m(__)m

 

ちなみにフランス積みの小口部の色を変えたりしますとこんな感じに。

フィラデルフィアの歴史的建造物

※こちらは弊社Y部長が米国研修の折に撮影してきてくれたフィラデルフィアの歴史的建造物。

まさにエレガント。

 

次回第2章は使われたレンガについてご紹介します。

水路閣

2015年1月5日 17:30

Category: 近代建築, タイルやレンガ

明けましておめでとうございます。

昨年は皆様には大変お世話になりました。

本年も変わらぬご贔屓の程、よろしくお願い致します。

 

こんにちは 担当Mです。

昨年の11月のことなのですが紅葉の始まった京都に家族で旅行してきました。

 

 

三門全景ミニ

南禅寺の三門。

なかなか壮大で大好きなスポットです。

別に切る見得も無いので今回は登りませんでした。

 

私達のブログでは珍しい建築物ですね。

南禅寺自体は正応4年(1291年)に開創された大変格式の高い寺院として知られています。鎌倉時代ですね。

この三門は永仁3年(1295年)創立後に応安年間(1370年頃)改築され文安4年(1447年)の火災で焼失。

そして現在のこの三門は寛永5年(1628年)に再建。すなわち江戸時代の建築です。

石川五右衛門の『絶景かな』でも有名ですが、五右衛門さんは秀吉に京都三条河原で処刑された。とか。すなわち安土桃山時代ということで時間軸があってないこともメジャーなお話。

現在では国指定の重要文化財となっています。

他にも南禅寺には国宝、重要文化財が多くあり境内そのものも国の史跡に指定されています。

 

と、ここまで私達のブログでは珍しい話題で恐縮でございました。

あー長かった〜 と思われそうでございます。

 

南禅寺には三門の他にも有名なスポットがあります。

水路閣全景1

 

こちらの水路閣が今回の目的です。

琵琶湖から南禅寺横を通り京都市内へ続く琵琶湖疎水の水路橋です。

 

千年の都であった京都。明治維新、東京奠都(てんと)などで京都の人口が減少し、産業も衰退した。復興の為に水運や灌漑などの意味をもたせたこの疎水を計画・建築したものでしたが、途中で水力発電の有利性が注目され日本最初かつ世界で二番目の事業用水力発電所を造り日本最初の一般用の電車となった京都市電を走らせるなど、京都の近代化に大きく貢献したとされています。

第一期工事は莫大な費用(市の年間予算の2倍とされる話と十数倍かかった話しと諸説)をかけ、明治18年(1885年)に着工しほとんど人力だけの難工事のすえ竣工は明治23年(1890年)。大規模な工事は外国人技術者頼みだった中、日本人のみの手で設計、施工されたもので土木技術史上極めて重要な事業であった ということです。

 

ここ南禅寺では写真のように西欧風のデザインで建築された水道橋を見ることができます。

これがまた周りの風景に絶妙に溶け込んでいます。

水路閣正面1

 

ここもまたイギリス積みになっていました。

水路閣レリーフミニ

 

レンガがアーチに連なり、コーニス下には蛇腹の飾り積みが見られ壁面の三角形状の飾り積みも楽しいです。レンガは四角なのになぁと、ふと思いました。こういう装飾は設計の技なのか、それとも職人さんの気概なのか。

 

 

古の寺院の中にこのような近代建築物があり、それが違和感無く、もしかしたら建築当時は反対もあったのかもしれませんが、結果的に現在では素晴らしい景観となっていることに感動。

 

この水路閣、現在では京都市指定史跡に指定されています。

 

担当M

 

東京駅の外観はタイルだった?

2014年12月5日 16:00

Category: 近代建築, タイルやレンガ

営業部 担当Mです。

辰野金吾の代表作の東京駅

2012年に復元工事が完了した丸の内側赤レンガ駅舎

創建時の外観を復元したのだそうです。

外観ミニ

 

写真ではよくわからないのですが小口積みとなっていることに気が付き、

前回のブログの万世橋はイギリス積みだったのに、小口積みなんだ と思ったわけです。

目地は万世橋でもみた、「覆輪目地」仕上げとなっております。

 

覆輪目地ミニ

縦横の目地巾が異なり目地の交差部分は蟇股(かえるまた)といわれる形状となります。

 

ところが、駅内部で一部構造が見えるところがありました。

 

内壁構造ミニ

あれれ、こちらはイギリス積みですね。

 

なるほど東京駅は構造部ではイギリス積みしていますが、外部表面では小口積みになってるんです。

 

東京駅では要所々々に解説ボードがありまして探してみたらありました。

 

下駄歯解説ミニ

 

ここでは以下のように書かれています。

 

化粧レンガ

『創建時の化粧レンガはプレス成形により製造されており、きわめて平滑かつ緻密で、角が鋭利であることが特徴である。 また、15mm(5分)・45mm(1寸5分)の2種類の厚さのものがあり、『下駄歯積み』の構造レンガに対応して一段毎に交互に積まれ剥離防止を図っている 今回復元した化粧レンガは創建時と同様の表面の肌合いと色を再現できた 厚さは15mmに統一した』

 

この下駄歯積みというのは縦横とレンガを組み合わせつつ積み、表面は凸凹になる積み方。

当時この凸凹にあうように厚みの異なる化粧レンガを張った ということです。

 

ちなみにこの度の復元工事で復元した化粧レンガは3階部分に使われています。

 

ところでこの凸凹の下駄歯積みですが、化粧レンガを張るつもりであればはじめから平滑になるように詰めば良いのでは? と素朴な疑問。

 

ここからは想像ですが当時は要求する品質で構造レンガを作ることができず、化粧レンガを構造体に張ることを考え、また現在のような高品質の接着力のあるモルタルがない為にわざと凸凹の下駄歯積みにし交互に積み張りした・・・という推理は正しいでしょうか

 

私としては東京駅では構造部のレンガに化粧レンガを『張った』ということがわかりまして大変興味深いことでした。そうです。タイルですね。

 

担当M

 

旧万世橋駅 その2

2014年10月21日 16:55

Category: 近代建築, タイルやレンガ

前回からの続きです。

再開発された「mAAch ecute神田万世橋」の中ですが、このように当時の跡が公開
されています。
旧万世橋1912階段

写真5_1912階段

1912年(明治45)、万世橋駅開業時に作られた階段で、鉄道博物館(後の交通博物館)

開館から1943年(昭和18)の駅の休止までホームから直接入館できる来館口として。

階段は花崗岩や稲田石を削りだしたものですが、踊り場は当時の新素材であるコンク

リートが使われ、壁面のタイルも覆輪目地(ふくりんめじ)という高級な仕上げ と

いう説明がありました。

 

なるほどなるほど、こちら当時の新素材 「コンクリートの踊り場」

写真6コンクリ踊り場

なるほどなるほど、これが「覆輪目地」

写真7覆輪目地1  写真8覆輪目地2

タイルは今でいうメトロタイル。 レトロなメトロw

 

ところで万世橋駅の前に架かる万世橋ですが元々1872年(明治5)に完成した際は萬

世橋(よろずよばし)と命名されたものの、次第に「まんせいばし」と音読みが一般化

したそうです。

後に現在の位置に掛け直されたものの1923年(大正12)の関東大震災で被災し1930

年(昭和5)に石及びコンクリート混成のアーチ橋に掛け直されたものが現在の万世橋

だそうです。

色々調べてみると面白いですね。

担当M

旧万世橋駅 その1

2014年10月9日 17:31

Category: 近代建築, タイルやレンガ

中央線の神田~御茶ノ水間にあったという旧万世橋駅の遺構が再開発されて

一時巷でニュースになっていましたね。

かつて通勤通学時に電車の窓から毎日その高架を見ていたのですが、

再開発され中に入れるとのことで見学に。

写真1外観その1

現在あるのはホーム跡というか鉄道高架部分になるわけです。

ばっちりレンガ積み。 興奮します。

写真2外観その2

コーニス下のデンティル調に組まれたレンガに目が留まります。

全体のパターンもイギリス詰みになっていますね。

そういえば以前に写真を撮った有楽町駅付近の高架下も・・・

写真3有楽町付近

イギリス積みになっています。

 

駅舎はどんなだったのだろう?などと思ったらこのような豪華な駅舎。

manseihashi

なんと東京駅か!と見紛う雰囲気。素晴らしきかなれんが建築。

やはり辰野金吾の作品でした。

東京駅ができるまで中央本線の起点駅で賑わう豪華な駅舎だったようです。

と、いいますか 賑わう万世橋界隈目指して鉄道が延伸した というのが正解のようです。

元は途中駅でなくて起点駅だったのですね。何もしらずm(_ _)m

次回は当時の跡をもう一つ

法務省旧本館

2014年8月8日 16:45

Category: 近代建築, タイルやレンガ

霞ヶ関にある法務省旧本館。
ドイツ人建築家の基本設計による、ドイツ・ネオバロック様式の歴史的建造物です。

Justice

私は、この辺の地理に不案内なので国会議事堂を見て、日比谷公園方向に歩いていたら、この建物が突然現れたのでビックリと同時に大喜びでした。
ブログに載せるつもりでいながら、撮影に来ていなかったからです。

19世紀の先進諸国では、ネオ・バロック様式こそ国家の威信を最もよく表現する建築様式とみなして、多くの建物がこの様式で建てられたそうですが、 法務省旧本館もかわらずに、周りの環境と相まって、威厳のある佇まいです。

さて、この建物は小口積み・・・いわゆるドイツ積みです。
サイズは日本の通常サイズより1回り大きい、約120×70ほどのれんがです。

函館金森れんが倉庫

2014年7月23日 19:08

Category: 近代建築, タイルやレンガ

今回のれんが建築は、函館のれんが倉庫・・・金森れんが倉庫です。
観光ですっかり有名になった函館BAY Area。

我が社の若手エースのD君が入社前に撮影したものを掲載しています。
(入社前だというのに、研究熱心です・・・)

写真 1[1] 写真 2[1]

枯れた蔦が覆っているのでわかり難いですが、イギリス積みの倉庫と、フランス積みをベースとした擁壁(「BAYはこだて」と言うそうです)があります。

フランス積みをベースとした、と書いたのは上部がイギリス積みに変わっているのです。

右の画像の上から12段くらいの所から下がフランス積みになっていますね。
(長手・小口・長手・小口・・・・・の順に積んでゆく積み方)

昔は、フランス積みが主流だったそうですが、函館のこのエリアを襲った大火事で多くの倉庫が消失したということです。
そこで再建するにあたっては、不燃材のれんがを使うということとなったそうですが、積み方はイギリス積みに変わっていました。
この擁壁の上部分がイギリス積みなのは、積み増したから、という説があるそうです。

なんにしろ、いい表情をしたれんがであることに変わりませんね。
ガサガサっとしたれんがの表情とか、当社の製品作りにいい刺激を与えてくれています。

三菱一号館美術館

2014年7月11日 19:10

Category: 近代建築, タイルやレンガ

明治時代に建てられた洋風建築には、れんがが多く使われています。
今回のレンガ建築があるのは丸の内。
marunouchi1
丸の内にできた最初のオフィスビル「三菱1号館」です。

ジョサイア・コンドルという三菱お抱えの設計者による、クイーン・アン様式の煉瓦造建築です。
marunouchi2
目地は、ここでもイギリス積み。 そして目地幅は8〜10mmで深目地仕上げ。
れんがを積み上げた後に、目地コテで深目地に仕上げる手間のいった仕上げで、陰影の効果が大きく、いい表情をしています。
marunouchi3
窓周りには約物れんがが使われています。(コーナー部分の面がとられています) こだわりを感じさせる逸品ですね。

ただ、オリジナルは1968年に解体され、現在見る「三菱1号館」(「三菱一号館美術館」)は残っていた設計図や資料をもとに作られたレプリカということです。

  • プロフィール

    Can'Enterprises,Inc.

    Author: Can'Enterprises,Inc.

    古煉瓦をリアルに再現したキャン’ブリックと、石調やテラコッタ風な床タイルを製造販売。米国製アンティーク調照明デザイナーズ ファウンテンが好評。

  • カレンダー

    2017/12
    « 3月    
     123
    45678910
    11121314151617
    18192021222324
    25262728293031
  • 最新記事

  • 最近のコメント

    • 月別の記事

    • カテゴリ

    • リンク